こんにちは、足と靴について研究中の理学療法士tajaxです。
今回は、箱根駅伝で今話題の、厚底シューズ(ナイキ:ヴェーパーフライ ネクスト)について、理学療法士の視点でお伝えしていきます!
全般的な足に良い靴の選び方について知りたい方は、
をご覧ください。
●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:6年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識・経験があります。
▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。
目次
①厚底シューズとは?
②厚底シューズの特徴
③最適な靴底の形状とは?
④歩きやすさも、靴底の形状で大きく変わる
・厚底シューズとは?
▶︎厚底シューズとは、正式名称が
「ズームXヴェイパーフライネクスト%」
ナイキの商品です。
ご覧の通り、靴底がかなり厚めなので別名「厚底シューズ」と言われています。
先日行われた箱根駅伝で、
往路21チーム105人中87人
何と82・8%がこの靴を履いて走ったそうです!
また、このシューズを履いた選手が区間賞・区間新記録を出したこともあり、今とても注目されているシューズです!
価格:57,954円 |
今回は、なぜ、厚底シューズが駅伝で好記録を連発したのか、理学療法士の視点で考察していきたいと思います!
箱根駅伝での結果の詳細については下記参照下さい。
・厚底シューズの特徴
▶︎厚底シューズの特徴としては、
①マラソンシューズでは少し重め(184g)
②アッパー(革部分)は極薄
③靴底が厚い
④つま先とカカトのローリングがしっかりしている
これらが挙げられます。
①②については、靴底の厚さによって重さがあるのを、靴底の素材の工夫・アッパーの軽さで相殺したことで、184gに抑えられているんだと思います。
ただ、それでもトップ選手向けのシューズという意味では、少し重めです。
陸上競技において、靴の軽さというのは成績を上げるうえで、とても重要な因子となります。
それでも、なぜこのシューズが選ばれ、そして好成績を出すのでしょうか?
その理由はやはりこの特徴的な厚底にあります。
・最適な靴底の形状とは?
▶︎残りの特徴として、
③靴底が厚い
④つま先とカカトのローリングがしっかりしている
これらがあります。これらはまとめると、靴底自体の形の特徴になります。
靴の形状をみるうえで大切なのは、
・重心の軌跡を阻害しないか
・前方への推進を補助するか
⬆︎この2点が大切になります。
足本来の重心の軌跡は、以下の通りです。
①カカトの外側から接地
②小指の付け根
③親指の付け根
④親指の先端へ抜ける
このように重心が移動するのが、正常な流れになります。
靴自体も、この流れを阻害しない作りになっている必要があります。
そのためには、
・カカトの外側
・親指の先端
⬆︎この2つにカーブがあるとベストです。
⬆︎理想的なのはこんな感じ
厚底シューズについては
⬆︎カカトは外側になっていませんが、親指方向にはしっかりカーブがありますね!
駅伝などの『走行』になると、重心の軌跡が『歩行』に比べて真っ直ぐになるので、そこまで考慮しなくても良いのかも知れませんが、
本来足は爪先が10〜15°程度外を向いているのが正常なので、『走行』においてもカカトの外側になります。
ミッドフット走行の選手なども、わずかながらもカカトへの接地はありますので本来は外側にカーブがあるのがベストかと思います。
この結果から、厚底シューズは重心の軌跡を阻害しないかという点において、
親指方向にはしっかり抜けるが、初期接地(カカト)の際にはやや正常と逸脱している。
と思われます。
ただし、フォアフット走行の選手などには特に問題無さそうです。
・次は、前方への推進を補助するかという点です。
これについては、横から確認します。
⬆︎大切なのは、つま先・カカトがしっかり反り上がっているかという点です。
⬆︎厚底シューズも、かなりしっかり上がっていますね!
カカト(本来は外側)が反り上がっていると、
初期接地の際にスムーズに重心が前方へ移動しやすくなります。
足は本来、床からの衝撃を吸収し、そのエネルギーを前方への推進力に変換するため、カカトが丸くカーブしています。
これはヒールロッカーという機能です。
足の機能として万人に備わっているヒールロッカーですが靴との適合性が悪かったり、靴底の形が真っ直ぐになっていたりすると、その機能が阻害されます。
そのため、カカトのカーブは足のカーブと同様に、しっかり丸みがある必要があります。
また、つま先(親指方向)への反り上がりですが、これがあると付け根で蹴り出す際に足の補助をしてくれます。
ヒトの足は蹴り出す際にしっかり付け根を曲げて、主にふくらはぎ(下腿三頭筋)の力を最大限使って重心を前に送ります。
その際に前足部がしっかり反り上がっていれば、足を前方に移動させる補助になりますので、ふくらはぎの筋力も温存できます。
別の特徴についても述べますが、
厚底シューズにおいては、特に『強力な前方への推進力』が、カーブのしっかりついた分厚い靴底によって得られている為、好記録を連発したんだと思います。
また、靴によって推進をサポートされることで
、下肢の筋力も温存されることも、駅伝やマラソンに適しているのだと思います。
・歩きやすさも、靴底の形状で大きく変わる
▶︎この厚底シューズによる良好な結果については、私生活にも応用出来ます。
なぜなら、厚底靴に近しい形状の靴を選べば、重心の移動がスムーズになるので『歩行』もしやすくなる為です。
簡単に言えば、厚底シューズみたいな形状を選ぶだけで良いのですが、それでは少し混乱すると思いますのでチェックポイントをまとめました。
・横からみてカカト・つま先は反り上がっているか
・カカト外側、親指方向にローリングしているか
・靴底は適切な厚さがあるか(靴の強度がある程度あれば良いので、靴が捻れないかチェック)
⬆︎以上です。
もちろん、靴には他にも大切な機能があるので、靴自体のチェックポイントを上げるともっとたくさんあるのですが、靴底のみに限定するとこんな感じです。
この特徴を抑えていたら、他の靴よりもスムーズに足が前に進みますので、良かったら試してみて下さい!
↓めちゃくちゃ安価ですが、靴底の形状についてはある程度クリアしています。
価格:980円 |
↓ニューバランスのシューズは、靴底の強度、形状共に良好なものが多いです。
価格:8,300円 |
価格:14,192円 |
以上で終わります。
最後までお読み頂きありがとうございました😊
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