腹横筋のトレーニング(インナーマッスル、作用、ドローイン、起始・停止、理学療法、高齢者)

リハビリ

こんにちは!今回は、腹横筋のトレーニングについて、文献を元に記載していきます!!

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・腹横筋のトレーニングについて、文献を一気見出来る

目次 

・腹横筋の解剖

・腹横筋の作用、働きについて

・触診方法、筋電図はどこにつける?

・腹横筋のトレーニング方法

・まとめ

・腹横筋の解剖

▶︎腹横筋の起始、停止は以下の通りです。

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【起始】
鼠径靭帯の外側、腸骨稜の内縁、第6〜12肋軟骨の内表面

【停止】
恥骨稜と腸恥骨線、腹直筋の腱膜〜白線

さらに、腹横筋は繊維ごとに働きが異なりますので、上部・中部・下部に分けられます↓

【文献②より】

・上部線維は第 6 肋骨または第 9 胸椎から 胸郭下端までの範囲にある線維

・中部線維は胸郭 下端から腸骨稜上縁の範囲にある線維

・下部線維 は腸骨稜上縁から恥骨結合までの範囲にある線維

↑このように定義されています。

・腹横筋の作用・働き

▶︎解剖学的には、以下の作用があると言われています。

作用:片側 体幹を同側に回旋する

(中部・下部)

▶︎上部は反対側回旋

両側   呼気に働き(補助筋)

腹部の緊張を維持する

また、その他の働きも文献にいくつか記載がありましたので参照ください↓

【インナーユニットとしての働き】

▶︎側面が腹横筋、下部は骨盤底筋群、上部が横隔膜、後面は多裂筋で構成。

▶︎腹圧をコントロールするため、腹圧性尿失禁などにも関与している。

【文献①】

▶︎腹横筋は体幹の支持に重要であ り、内腹斜筋深層線維と連結して仙腸関節の剪断力に対して安定させる機能もあるとされる。

【文献②】

▶︎腹横筋は腹部筋の中でも体幹深部筋として脊椎の分節的な支持やコントロールにおいて重要である .

腹横筋は解剖学的な筋線維の走行の違いから上・中・下部線維に分けられ,上部は胸郭の安定性,中部は胸腰筋膜の緊張を介して腰椎の安定性(腹腔内圧の調節に関与),下部は仙腸関節の安定性に関与するといわれている

【文献③】

▶︎脊椎安定性に関与する体幹筋群は,特に多裂筋,腹横筋,内腹斜筋が脊椎支持性に重要である。

▶︎これらの筋は同時収縮することにより,脊柱をニュートラルポジションに安定させる働きがあり,腹圧を高める。これらの働きが腰部への負担を軽減する。

【文献④】

▶︎Massé-Alarie ら は腹横筋と内腹斜筋の走行が類似しているため,両筋は腰椎骨盤運動をコントロールする役割を持つ可能性を報告している.

▶︎上肢拳上運動において腹横筋,内腹斜筋は他の筋に独立し先行して活動することが確認されている。

【文献⑤】

腹横筋の強化の効果
▶︎腹式呼吸時に息が強く、深く吐けるようになる
咳嗽がしやすくなる
・排便や分娩時に腹圧を高めて出やすくなる

↑これらをまとめると

・片側では同側の回旋(中部・下部)

     反対側の回旋(上部)

・腹腔内圧の調節:咳嗽がしやすくなる

        :呼気がしやすくなる

        :尿・便失禁予防

・先行随伴性姿勢調節:上肢挙上時

・仙腸関節の剪断力に対して安定させる機能

 (片脚立位時)

↑こんな感じでしょうか。動作による収縮よりも、各動作を安定させるための機能という意味合いが大きいかと思います。

・筋電図はどこにつける?

【文献②】

▶︎測定部位は解剖学的知見 とUrquhart らのワイヤー筋電図の測定部位を参考に,

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上部:第 8 肋軟骨内側縁より 2 cm内側

中部:臍 周囲上腋窩線から2.5cm内側

下部:上前腸骨棘 より 2 cm内側

↑ワイヤー筋電図ではこんな感じで位置させます。

表面筋電図では腹横筋を単独で検出しているような文献はほとんど見当たらず、下部については腹横筋と内腹斜筋をセットで測定していることが多いです。

そのため、腹横筋を触診する際には内腹斜筋とセットであると認識しておいた方が良いかと思います。

・トレーニング方法は?

【文献①】下肢の持ち上げ動作

▶︎腹横筋の随意収縮には骨盤後傾位の姿勢より比較的骨盤前傾位である自然立位の方が適している

▶︎下肢の持ち上げ動作は、支持側の腹横筋が運動側よりも有 意に活動し、支持側脊柱起立筋活動も運動側に比して有意に少ないという結果が得られた。

(支持側の方が仙腸関節への剪断力が増し、それに拮抗するように腹横筋活動が高くなったと推察される。 )

【文献②】上肢挙上運動

▶︎腹横筋を上・中・下部に分けてワイヤー筋電図を用 いて上肢の素早い屈曲運動に対する腹横筋の予測的 活動をみた先行研究において,上肢の運動に先行し て中・下部腹横筋の活動がみられ,上肢の運動開始後に上部の活動がみられたことにより,腹横筋の中でも中・下部は腹圧の調節や予測的姿勢制御に重要な役割があることが示唆されている .

▶︎腹横筋の筋厚変化に関する研究は中部をみた報告が多く ,Drawing時には50〜85%増加し ,背臥位における体幹屈曲運動では114%増加(屈曲角度↓であれば30%くらい)し ,下肢伸展挙上運動では13.1%増加することが報告されている

【文献②】ドローイン

▶︎Drawing では胸腰筋膜に付着し腰椎の安定 性に関与する中部線維や腸骨に付着し仙腸関節の安定性に関与する下部線維において筋厚が増加した.
▶︎Drawing 時の中部線維の筋厚増加率が上・下部に比べて有意に大きかったことから,Drawing は特に中部線維のトレーニング,すなわち腰椎の安定性向上を目的としたトレーニングとして有用である可能性が示唆された.

【文献②】

▶︎内腹斜筋下部線維上で腹横筋下部に相当 する部位にて表面筋電図を測定した先行研究におい て,同側回旋,Drawing,反対側回旋,体幹屈曲, 両 SLR といった体幹運動の中では,同側回旋運動が最も高い筋活動を示すことが報告されている

【文献③】
(1) curl-up , (2) side-bridge は腹直筋の活動が、腹横筋、内腹斜筋の活動よりも有意な傾向を示した。
また (3) bird-dog は,多裂筋,最長筋の筋活動量が他の運動に比べ有意に高かった。 (4) abdominal holling は,内腹斜筋の活動が他の運動に比べ非常に有意に高かった。

※curl-up:腹筋運動

【文献⑥】

▶︎超音波診断装置を用いた研 究では,腹横筋は背臥位よりも座位,立位やつま先立ちで腹横筋厚が増大すると報告されている。

▶︎座位や立位では骨盤傾 斜角度の違いにより腹横筋厚が異なり,後傾位で腹横筋厚が増大するという報告もある

▶︎骨盤傾斜を中間位に保った姿勢で腹部引き込み運動を行うこ とが,腹横筋の効果的な筋収縮を促すために適している可能性が考えられた。

↑これらをまとめると、

・方法としてはドローイン、下肢挙上、上肢挙上などがあるが、同側の回旋が最も活動が大きい

・トレーニング姿勢は背臥位よりも座位・立位・つま先立ちの方が効果が高い

・骨盤は中間位で行った方が良い

このような感じですね。骨盤の傾斜をコントロールすることが特に大切かなと思いました。

・まとめ

▶︎今回は、腹横筋のトレーニング方法について記載しました。

▶︎個別での触診が困難なため、内腹斜筋などセットで鍛えるイメージの方が良さそうですね。

それではこれで終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

 

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【文献①】

木勢ら.立位における腹横筋トレーニングの検討第 3 報 ─超音波診断装置を用いて─.Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)2011

【文献②】

森ら.体幹運動による腹横筋の筋厚変化―上・中・下部線維別検討―体力科学,60(3): 319〜326(2011)

【文献③】

安藤ら.コアトレーニングにおける深部体幹筋活動量の筋電図学的解析―表面筋電図を用いた検討―Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)2009

【文献④】

大須賀.体幹インナーユニットにおける筋厚と筋活動の関連について

【文献⑤】

吉川ら.姿勢変化に伴う腹横筋の作用─上部線維と中部線維における筋厚の変化から─理学療法科学 23(4):535–538,2008

【文献⑥】

由利ら.姿勢および骨盤傾斜の違いによる腹部引き込み運動時の腹横筋厚の変化―超音波診断装置による検討―Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)2015

コメント

  1. デルトイド より:

    コメント失礼します。勉強不足て申し訳ないのですが、引用文献5のabdominal hollingについて質問です。具体的にどういう運動が教えていただけたらありがたいです。

    • tajax より:

      コメントありがとうございます!
      文献③で引用させて頂いた、
      安藤ら.コアトレーニングにおける深部体幹筋活動量の筋電図学的解析―表面筋電図を用いた検討

      ↑こちらに記載しているabdominal hollingについてでしょうか?

      この内容については、私自身もブログ記載時に調べて
      疑問に思った内容になります。

      というのも、
      ・上記のスペルで検索しても全く運動内容がヒットしない。
      ・そもそもhollingという言葉自体の意味を検索しても日本語訳が全くない。

      ↑これら2点の理由から、内容把握に苦慮しておりました。

      これについて個人的に考えた結果、文献③のその他の運動プログラムについては、かなり基本的で分かりやすい内容ばかりであることから、最終的にholling自体が単なるスペルミスなのではという結論に至りました。

      もし仮にhollingがholdingの間違いであれば、座位で両下肢挙上した状態で臀部を挙上してる 画像がいくつかヒットします。

      ※abdominal holdで検索したら出ます。

      座位での臀部挙上(両下肢挙上位)であれば、仙腸関節にある程度せん断力も加わりそうなので、内腹斜筋が優位に働くのも頷けます。

      そのため、私個人としては『座位での両下肢挙上』をするEXのことかなーと咀嚼して文献を読んでいました。

      ただ、著者である安藤先生に直接問い合わせた訳でもないため、推測の域を超えないのが現状です。 

      また、スペルミスかもしれないと思いましたが、引用した内容を変更することは出来ないため、原文ままに記載させて頂いた次第です。

      ▶はっきりした回答にならず申し訳ありません。
       わざわざコメントありがとうございました🙇‍♂

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