高齢者の体幹トレーニング(ドローイン、ブレイシング)【文献集】腹横筋・腹斜筋・多裂筋

リハビリ

こんにちは!今回は、高齢者でも簡単に行える体幹トレーニングについて、文献を元に記載していきます!!

※文献紹介を元にまとめていきますので、専門職向けの記事になります。

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・高齢者に対する体幹トレーニングについての文献が一気にみれる。

目次 

・体幹筋の分類(ローカル筋とグローバル筋)

・体幹の役割(姿勢制御)

・ドローイン

・ブレイシング

・まとめ

・体幹筋の分類(ローカル筋とグローバル筋)

▶︎体幹の筋肉は、位置・機能的な役割によって2つに分類されます。

以下文献より一部抜粋↓

【体幹筋の分類】

▶︎Bergmark が脊柱の動的安定性に 関与する筋を,その機械的な役割から,ローカルシステ ムとグローバルシステムに分類している 。

▶︎ローカルシステム:体幹深層で脊柱に起始停止を持つ筋が属しており,腰椎の弯曲や椎体間の機械的安定性などの局所 の調節に関与している。

▶︎グローバ ルシステム:胸郭と骨盤に起始停止を持つ大きな筋 が属しており,脊柱全体の運動を調節しながら,体幹に加わる外的負荷と均衡を保っている。

↑この 2 つのシステムが相互に作用することで理想的な脊柱の分節的運動を生み出している。

【ローカル筋とグローバル筋】

▶︎体幹筋は内外腹斜筋,腹直筋,腰方形筋外側線維,脊 柱起立筋群などの表在に位置する大きな筋群の体幹グ ローバル筋と,腹横筋,内腹斜筋の後部線維,深部多裂 筋などの深部に位置する小さい筋群の体幹ローカル筋に 分けられる。

▶︎このうち,体幹ローカル筋群は脊柱の 分節的安定性を高めるためには不可欠であり,この筋の 活動がみられない場合は,脊柱は不安定のままであると 報告されている 。

鈴木ら.高齢脊椎圧迫骨折患者に対する体幹深部筋同時収縮エクササイズの効果.第44回日本理学療法学術大会 抄録集2009

↑とのことです。では次に体幹の役割について記載します。

・体幹の役割

▶︎体幹は、グローバル筋とローカル筋が協調的に働き、姿勢制御を行っています。

以下文献より一部抜粋↓

【体幹と姿勢制御】

▶︎Hodges らは,上下肢 の運動に先行する体幹筋の活動を報告しており,姿勢制御における体幹の関与を示している

▶︎脊柱の分節的運動は頭部と上下肢の運動を必要に応じて分離することを可能にし,体幹の立ち直りや頭部 の平衡維持に役立っている 。

※たとえば,飲み物を片手 で持ちながら不整地を歩くような複合動作を考えてみる と,腰椎で歩行に伴う骨盤の前後傾や回旋の動きの影響 を吸収することで上肢と頭部に対する影響を必要最小限 に抑えることができる。

▶︎理学療法士がバランスの評価を行う際には,バランス能力の一 要素である脊柱の分節的運動,その運動を調節している ローカルシステムとグローバルシステムの協調性,そし て前述のメカニズムに対しても目を向けなければならな い。

鈴木ら.高齢脊椎圧迫骨折患者に対する体幹深部筋同時収縮エクササイズの効果.第44回日本理学療法学術大会 抄録集2009

↑とのことです。グローバル筋(腹直筋・脊柱起立筋など)については一般的にも鍛え方が周知されていますが、グローバル筋(腹横筋・多裂筋など)については分からない方も多いかと思います。

次は、高齢者でも簡単に行える

【ドローイン】と【ブレイシング】について、

文献を一部ご紹介していきます。

・ドローイン

▶︎ドローインとは、安静呼気時に下腹部の引き込みを行う運動です。

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↓以下文献より一部抜粋。

【ドローインの効果】

▶︎ドローインは安静呼気時に下腹部の引き込みを行 うことで,選択的に腹横筋の収縮が得られるとされており,それにより,脊柱の分節的安定性が増すことで,動作に先行する体幹の筋収縮が円滑化し,その結果,腰痛予防・改善が期待できるとされている.

▶︎種本らは,ドローインによる体幹 深部筋への介入が立位重心動揺の減少に寄与すると判断 でき,体幹深部筋は運動を起こす効果器としての要素以 上に,固有受容器感覚などの体性感覚に準拠した機能の 関与が大きいと報告している

【腹横筋 ドローイン】

▶︎立位姿勢における腹横筋の筋活動の 低い腰痛患者にドローインの訓練を行うと,立位時によ る腹横筋の筋活動が高まることが報告されている(Tsao と Hodges)。

▶︎ドローインには,腹横筋の筋活動を促通 する教育効果があるいえる。

引用:谷本.体幹トレーニングの流行の背景と効果に関する考察.理学療法―臨床・研究・教育 27:3-9,2020

【ドローイン】

▶︎Okubo ら は腹横筋の筋活動は,四つ這いでの上下肢挙上, 片脚ブリッジ,サイドブリッジ,自重での体幹屈曲運動 よりも座位でのドローインの方が高かったと報告してい る.

▶︎木伏らは,安静呼気と比べてドローインでは外腹斜筋, 内腹斜筋,腹横筋の筋厚が増加する 一方,Hides ら は,MRI を用いてドローイン中の腹部筋の機能を 調査し,その結果,内腹斜筋と腹横筋のみ筋厚の増加を認めている.

【立位 内腹斜筋と腹横筋】

▶︎ドローインが片脚立位と歩行の安定性に及ぼす影響について検討。Snijders ら  は,一側下肢への 荷重量の増大に伴う仙腸関節への揃断力に対し骨盤の安 定化を図るため,立脚側の内腹斜筋の活動が増加すると 報告している.

▶︎腹横筋は解剖学的な筋線維の走行の 違いから上・中・下部線維に分けられる.

▶︎上部線維は肋 骨や胸郭を安定させる作用,中部線維は胸骨筋膜を緊張 させて腰椎を安定させる作用,下部線維は仙腸関節を安 定させる作用を有している

▶︎介入後において片脚立位の安定性はドローインにより内腹斜筋と腹横筋の作用 によるものであると考えられる.

永井ら.ドローインによる側腹筋群の筋厚変化と 立位・歩行時の安定性についての検討.理学療法科学 35(1):129–132,2020

【座位 ドローイン】
▶︎随意的な腹部筋の収縮が難しくドローインが困難な場合、腹横筋の活動を高めるには座位での対側傾斜や対側下肢挙上が有効であるが、 特に対側下肢挙上では最大ドローイン時と同程度の腹横筋の選択的 な活動が得られることが示唆された。

本村ら.座位での体幹傾斜および下肢挙上が腹部筋の活動に及 ぼす影響Vol.46 Suppl. No.1 第53回日本理学療法学術大会 抄録集2018

↑ドローインのみでたくさん文献がありましたが、簡単に特徴をまとめると

・腹横筋の選択的な収縮を得やすい

・座位でも十分なexが可能

・内腹斜筋、腹横筋が賦活され片脚立位が安定する可能性がある

・重心動揺の安定にも関与している可能性がある。

といったところでしょうか。

・ブレイシング

▶︎一方ブレイシングは、息を吸っている状態で腹圧を高めるエクササイズです。

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※以下文献より一部抜粋↓

【ブレイシング 腰痛】

▶︎本研究より,腰部安定化エクササイズにおいて,Abdominal Bracing(以AB )はAbdominal Hollowing(以下,AH)より腰部多裂筋の筋厚を増加させ,体幹筋の同時収縮を高めること が示唆された。

▶︎Richardson らによると,AH は腹横筋を中心に体幹深部筋の収縮を促すことで腰部安定化が図られると報告され ている。

▶︎McGill らは,腹横筋だけでは腰部の安定性は不十分であり,腹斜筋群の収縮も用いることで安定性を高められると報告している。

佐藤ら.腰部安定化エクササイズが腰痛患者の体幹深部筋に与える影響 ~超音波診断装置による検討~Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)2015

【ブレイシング ドローイン 多裂筋】

▶︎腰部多裂筋厚は Bracing 時において安静時および Hollowing 時より有意に増加した。 ▶︎Bracing の収縮様式は等尺性収縮であり, 体幹屈曲筋と伸展筋の協調した働きが必要である。

▶︎腰部多裂筋は腰部背筋群の中で最も強力で最大であると報告されているこ とから,Bracing による腰部多裂筋の働きが考えられる。

▶︎腰部多裂筋は腰椎伸展に必要な筋出力よりも,腰部の安定性 に寄与していると報告されている。

▶︎等尺性収縮による関節運動の代償を抑えるための姿勢制御として腰部の安定性に作 用したとも考えられる。

▶︎表面筋電図を用いて腰部多裂筋を計測したところ,Bracing 時の筋活動は 8.17±3.08% であった。

▶︎Bracing は十文字に交差している腹斜筋の補強により十分な腰部安定性を提供する。このため強い同時収縮が必要とされること はなく,MVC の 5~10% 程度の収縮であると報告されている。

▶︎Bracing における腰部多裂筋厚の増加は腰部の安定性に働いたと示唆された。

▶︎Hollowing の収縮様式腹横筋 を求心性に収縮させる作用があり,腰部多裂筋への直接的な影響はほとんどない。このために腰部多裂筋への筋厚は変化しなかったと考える。

佐藤ら.体幹エクササイズの収縮様式の違いが腰部多裂筋に与える影響-超音波画像および表面筋電図による検討.Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)2014

【ブレイシング 利点 欠点】

▶︎健常者を対象とした本研究の結果から,下肢と体幹の運動連鎖において体幹安定化を図るには,剛体化という観点から, 動作の前から Bracing により体幹筋を収縮させるような運動制御を意識することが有用であると示唆された.

▶︎腰痛患 者を対象とした先行研究では,過剰な剛体化によって適切な体幹の動きが妨げられることも指摘されているため,必ずしも 剛体化が体幹安定性において優れているとは断言できない.

大江ら.下肢挙上動作時における体幹筋の収縮様式の違いが体幹安定性に及ぼす影響Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)2010

【体幹深部筋同時収縮エクササイズ】

▶︎体幹深部筋同時収縮エクササイズによる筋量の維持 ・ 増加効果が示唆された。

▶︎体幹深部筋同時収縮エクササイズは、運動中の疼痛の誘発も少なく早期から導入可能であり、高齢脊椎圧迫骨折患者の筋量維持に有用であることが考えられる。

※背臥位にて腹直筋を除く腹筋群と多裂筋の同時収縮 。

鈴木ら.高齢脊椎圧迫骨折患者に対する体幹深部筋同時収縮エクササイズの効果.第44回日本理学療法学術大会 抄録集2009

↑ブレイシングについてまとめると、

・深部の腹筋、背筋の同時収縮である

・腹斜筋や多裂筋の収縮を得やすい

・腰部の安定が図れる一方、過度に剛体化し適切な脊柱の運動を妨げる可能性あり

↑このようになりました。

・まとめ

▶︎今回は高齢者でも行いやすいドローインとブレイシングを中心に記載しました。

▶︎それぞれに特徴があるため、併用することでよりより効果があるのではと思います。

それではこれで終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊。

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