たびりらキッズレビュー!足に良いのか⁉︎【理学療法士が解説します!】

子供靴

こんにちは、足と靴について研究中の理学療法士tajaxです。

今回は、『たびりらキッズ』のレビューをしていきます!

全般的な足に良い靴の選び方について知りたい方は、

靴が柔らか過ぎると足が変形する⁉︎【足に良い靴のチェックポイント⑩】 - 足と靴のお悩みブログ
こんにちは、tajaxです。 今回は、なぜ、靴が柔らか過ぎると足に悪いのか?という点をお伝えしていきます。 足に良い靴のチェックポイントの1つとして、 ”靴が簡単に捻れないか〟という部分を別の記事でも挙げています。 チェック方法は簡単です。 靴を下図のように手で捻ってみて下さい。 ⬆︎このように簡単に捻れてしまう靴は、...

をご覧ください。

●この記事の信頼性

▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:6年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識を元に、『この靴は歩きやすいのか』『足の変形を助長しないのか』という視点で靴のレビューをしていきます。

▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。

●このブログをみて得られるメリット

①たびりらの良い点・悪い点が理解できる。

②今回の靴レビューを通して、正しい靴の知識が身につく。

・目次

・我が子の足を健康に保つには、どうしたら良いのか?

・たびりらキッズの簡単な特徴

・実際に歩きやすいの?

・立っているときにバランスがとりやすいか?

・足の変形を助長しないか?

 ▶︎前足部の変形 

 (外反母趾、内反小趾、開帳足) 

    ▶︎後足部の変形

 (扁平足、外反扁平足)

・総評

・我が子の足を健康に保つには、どうしたら良いのか?

▶︎これをお読み頂いている方々は、大半が子供を持つ親御さんだと思います。

親にとって、子供の健康というものはとても大切なものです。

・私の子供は順調に発達しているのかな

・立っている姿勢は悪くないかな

・この子の歩き方は変じゃないかな

・他の子供よりコケやすい気がする

などなど、悩み出すとキリがないですね。

しかし、ほとんどの人は、これらを解決する方法が分かりません。

例えば、立っている姿勢が気になって小児科に行くとします。

すると、それらの99%は、

『発達には問題ないから大丈夫ですよ』

と、お医者さんに言われてしまいます。

確かに、重篤な変形をしているお子さんはほとんどいないと思います。

また、子供の足は、16歳頃に骨が大人と同じように完成するため、それまではO脚▶︎X脚といった状態を経由するのが正常です。

そのため、2歳頃まではO脚や扁平足で当たり前であり、特に問題はないため小児科でも問題視されません。

しかし、現実問題として、骨が完成したといわれる16歳頃の高校生は、すでに足の変形が生じていることがほとんどです。

ということは、骨が完成するまでに、ほとんどの子供の足が何らかの理由で変形してしまっていると言うことです。

考えられる主な原因としては、

・足のアーチを形成する筋力の低下

・猫背などの姿勢不良

・足の変形を助長する靴を履いてる

・過度な外力による変形

・怪我による足の変形

などが考えられます。

いろいろ考えられるものを記載しましたが、これらはすべて、靴選びを適切に行えれば大幅に予防出来ます。

例えば、良い靴を履いていれば、足指の筋力も使いやすくなるので足のアーチを形成する筋力を保ちやすくなります。

また、足のアーチを保てるようになると、足元から姿勢が整いますので、結果的に猫背の解消にも役に立ちます。

さらに、姿勢が改善して足に力が入りやすくなると、こけたりしにくくなるので、怪我の予防にもつながります。

↑このような流れで、良い靴を選ぶことができれば、結果的に上記の原因も解消しやすくなります。

しかし、現状として、ほとんどの方が、

 『どんな靴が足に良いのか』

『どんな靴が歩きやすいのか』

という知識はないと思います。

というのも、日本人はもともと草履を履いて生活していたので、そもそも靴を履き始めたのは歴史的にみれば最近のことなので、そうなるのが当たり前ですね。

そのような靴に対する知識がないので、結局『見た目重視の靴選び』をしてしまいます。

私自身は、デザインのセンスなどは全く皆無なので、そういったことについてはお答え出来ません。

しかし、足と靴について研究中の身なので、

『どんな靴が歩きやすいのか』

『どんな靴が足に良いのか』

こういった視点では皆さまに靴についてお伝え出来ることが多々あります。

今回の靴のレビューを通じて、少しでも良い靴選びに興味を持っていただけたら幸いです。

・たびりらキッズの簡単な特徴

▶︎たびりらは、1919年創業の老舗地下足袋メーカーが製造しているシューズです。

地下足袋ならではのつま先デザインが特徴で、脱ぎ履きがしやすいスリッポンタイプのものとなっています。

大人用もあるのですが、子供用に作成されたのが、今回ご紹介する〝たびりらキッズ〟です。

何となく、足指もしっかり使えそうで、足に良さそうな印象ですね!

▶︎実際のところどうなのか、理学療法士が解説していきます!

・実際に歩きやすいの?

▶︎歩きやすさをみるときは、以下のポイントを確認しながらチェックします。

・つま先がしっかり反り上がっているか

・靴の強度はしっかりあるか

↑これらが大切になります。

今回のたびりらキッズは、

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↑つま先のそり上がりはかなり少ないですね。靴の性能としては、前に進むための推進力はなかなか期待出来そうにありません。

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↑※良い靴はこんな感じ。

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↑また、つま先の転がりの開始位置も、実際の足の付け根部分とはかなり離れているので、蹴り出しはスムーズにいかなそうです。

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※付け根部分とピッタリ合っている靴の例。

▶︎靴の強度については、下図のように手で靴を捻ってみて確認します。

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↑このように、手で簡単に捻れてしまうような靴は、靴の強度が弱く不安定です。

今回のたびりらも、

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↑かなり容易に捻れてしまいました。

靴が柔らか過ぎると、歩く際に左右にふらつきやすくなってしまいます。

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※本来は↓のように、安定して親指方向に体重が抜けていくのが最適です。

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この靴は強度も弱いため、左右にふらつきやすい靴だと思われます。

これらのチェックから、このたびりらは『前にも進みにくく、なおかつ左右にふらつきやすい靴』という評価になりました。

↑この評価だけでも、もうあまり購入したくないような印象ですが、靴には一長一短ありますので、他の項目に期待しつつレビューを続けたいと思います。笑

・立っている時のバランスはどうか?

▶︎次は、立っている時のバランスについてです。

立つ時のバランスについて確認するときは、

・靴底の硬さは適切か

・アッパー(革)部分は適切な強度があるか

・付け根からカカトにかけて靴底が真っ直ぐか

という点に注意します。

▶︎靴底の硬さについては、先ほどもお伝えしたように、少し弱めかと思います。

▶︎また、アッパー部分の強度については、実際に触って確認するのが1番です。

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↑靴の作る際には、靴の形を保つために上図に挙げた3つの部分に芯材を内部に入れます。

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↑この靴の場合は、革の内部には芯材は全くありませんでした。ただ、上図をご覧いただいてわかるように、靴底のカカト部分がかなり巻きあがっているので、それにより踵の後面のみは保護されています。

しかし、側方への保護は全くないので、『側方へのふらつき』は生じやすいかと思います。

⇒ただ、3つ目のポイントであるつけ根からカカトにかけて、靴底がまっすぐかという面に関しては、かなり良いと思います。

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↑このように靴底を横からみた状態では、完全にフラットな面になっています。

⇒これらの結果をまとめると、『靴底のやわらかさ+革のやわらかさという面で、側方へのふらつきは生じやすいが、靴底事態はフラットで安定しているため、前後方向へのふらつきは少ないといえます。

・足の変形を助長しないか。

▶︎これについては、親御さんが1番気になる点だと思います。

一般的によくみられる足の変形は、

外反母趾

内反小趾

開帳足

扁平足

外反扁平足

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この5つが挙げられます。

細かい説明については、それぞれ別記事をご覧頂ければと思いますが、

大きく分けると

①前足部の変形(付け根からつま先まで)

・外反母趾

・内反小趾

・開帳足

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②後足部の変形(足関節)

・扁平足

・外反扁平足

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に分けられます。

まず①前足部の変形については、中敷きを見て確認します。

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↑付け根部分がしっかり幅があって、なおかつ先端に指が全て収まれば、外反母趾・内反小趾・開帳足にはなりにくくなります。

※今回の靴は、中敷きが外れないタイプだったので、上記の確認方法ができませんでした。そのため、↓のように靴の外観をみてある程度判断していきます。

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↑このように、足袋靴ということもあり、親指とその他4指が分かれるようなデザインになっています。また、つけ根部分の幅もしっかりあるので、つま先まわりの形だけをみると、一見するとつけ根+指の変形にはなりにくいと思われます。

しかし、ここで注目して頂きたいのが、靴の履き口のタイプです。この靴はスリッポンタイプの靴なので、紐やマジックテープなどの留め具がありません。

そのため、留め具による固定がないことから、フィッティングが相当抜群じゃないと足が靴の中で前後に移動するようになります。

そうなると、いくらつま先まわりのデザインが良くても、結局指が靴の先端に圧迫されてしますので、最終的には指やつけ根の変形を誘発してしまいます。

よって、この靴は、『つま先の形状は問題ないものの、履き口のデザインにより足指の変形になりやすくなってしまった靴』といえます。

②の後足部の変形については、

・靴の強度

・アッパー(革部分)に芯材があるか

・靴底のウエストラインが細すぎないか

↑これらの点をチェックします。

・靴の強度については、立っているときのバランスのところでもお伝えしましたが、靴底が柔らか過ぎると、足の変形も助長してしまいます。

どういうことか、簡単にお伝えすると

扁平足・外反扁平足はざっくり言うと、足が内側に傾く変形のことを言います。

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↑これは、足の関節が内側に変形していることを意味するのですが、靴底が柔らか過ぎると体重を支えるカカトと付け根(母指球)が沈み込んでしまうので、結果的にに足が傾きやすくなってしまいます。

そのため靴底が柔らかい=足が変形しやすいと言っても過言ではないでしょう。

・また、アッパー(革部分)に芯材があるということも、大きなポイントになります。

▶︎前述したように、今回の靴は革部分に芯材が存在していなかったため、強度は極端に弱いです。

・最後に、靴底のウエストラインの幅について確認します。

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本来、このウエストについては、土踏まず部分は足が地面につかないからという理由で、ほそめに設定している靴がそもそも多いのですが、すべての人に適切なデザインではありません。

例えば、扁平足・外反扁平足の方は土踏まずが立位・歩行時に床についてしまうので、ウエストの細いデザインにしてしまえば、靴底での支えがなくなるので変形を助長してしまいます。

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また、上記の変形になっていない人でも、もし仮にインソール を作成する場合は、どうしても矯正力が弱まってしまいます。

そのためウエストラインは細すぎないことが重要になります、

この靴では、

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↑ウエストラインについては、しっかり幅があるので、問題ないかと思います。

・足の変形のしやすさ(後足部)についてまとめると、

▶︎ウエストラインについては、そこまでカーブが急ではないので、問題ないかと思いますが、

やはり靴底・革部分の強度不足により、この靴は扁平足・外反扁平足を助長する可能性があると言えます。

・総評

では、レビュー結果をまとめます。

①歩きやすさ E

▶︎前に進みにくく、側方にもふらつきやすいため。

②立っているときのバランス    C

▶︎前後にはふらつきにくいですが、側方動揺は比較的しやすいです。

③足の変形のなりやすさ   D

(外反母趾、内反小趾、開帳足)

▶︎指のスペースはしっかりしていますが、履き口の調節が不可能なため、足ば前後に移動して指を圧迫する可能性があります。

④足の変形のなりやすさ  D

(扁平足、外反扁平足)

▶︎後足部の作りも、強度的に弱いので減点です。

個人的に点数をつけるのであれば、30点くらいですね!笑

→正直、足のことを考えたっぽい見た目だったので、期待していたのですが残念でした。

靴の機能としては弱そうな印象でしたが、もしトレーニング用として捉えるのであれば、そこそこ使い道はあるのかなと思いました。

⇒少なくとも、自分の子どもにはあまり履かせたくないなーというのが正直な感想です。

以上で終わります。最後までお読みいただきありがとうございました😊

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