股関節屈曲可動域制限の原因とは?(文献まとめ)

リハビリ

こんにちは!今回は、股関節屈曲の制限因子について、文献を元に記載していきます!!

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・股関節屈曲の制限因子について、文献を一気見出来る

目次 

・股関節の解剖

・股関節屈曲の制限因子(各文献紹介)

・まとめ

・股関節の解剖

▶︎ではまず初めに、股関節周囲の解剖についてみていきます!

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↑屈曲と拮抗して作用する股関節伸展筋は、

・大殿筋

・大内転筋

・小殿筋の後部線維と中殿筋の後部線維

・梨状筋

・大腿方形筋

・長内転筋

・短内転筋

↑これらが挙げられます。

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また、その他股関節後面には、

・梨状筋

・上・下双子筋

・内閉鎖筋

・大腿方形筋

↑これらの筋が存在します。

では、これらの筋は屈曲を制限する因子になるのでしょうか??

・股関節屈曲の制限因子について

↓では次は、股関節屈曲の制限因子について記載されている文献を参照しています!!

【文献①】

▶︎股関節屈曲可動域制限が存在する場合、大殿筋やハムストリングスが筋由来の制限因子として容易に想定できる。

▶︎しかし臨床上、股関節屈曲可動域制限を有する患者で大殿筋やハムストリングスの走行に一致した伸張感を認めることは少なく、股関節深層外旋筋群(以下、深層外旋筋)や股関節外転筋群と想定される部位に伸張感を認めることが多い

▶︎梨状筋、上双子筋の筋長は股関節屈曲角度の増加に伴い伸張され、股関節75度屈曲位でそれぞれ119%、113%であった。

▶︎下双子筋の筋長は股関節屈曲30度まではほぼ変化がなかった。30度以降は徐々に伸張されたが他の筋に比べ最も伸張率が低く股関節75度屈曲位で105%であった。

▶︎大腿方形筋は股関節屈曲30度まではほぼ変化がなかったが、45度屈曲位で110%、60度屈曲位で124%、75度屈曲位で133%と股関節屈曲30度以降に急激に伸張され、今回対象とした筋の中で最も伸張率が高かった。

【文献②】

▶︎ 股関節中間位(解剖学的肢位)からの外旋に伴い深層外旋筋群はすべて弛緩した。

▶︎一方、屈曲に伴い梨状筋及び大腿方形筋が伸張され、外転に伴い梨状筋、上 ・ 下双子筋、内閉鎖筋は弛緩するが大腿方形筋、外閉鎖筋は伸張された。

▶︎複合的な運動では、屈曲位からの外転では梨状筋や上・下双子筋、 内閉鎖筋は弛緩するが、大腿方形筋は伸張され、さらに外旋が加わると大腿方形筋は最大限に伸張 され、筋線維が切れる程であった。とくに大腿方形筋を上下部の二等分した場合の下部の線維で顕 著であった。

▶︎変形性股関節症による人工股関節全置換術症例では、手術の展開において大腿方形筋は温存され ることが多いが、術中操作により過度のストレスがかかり、術後の関節運動時に大転子後面に痛み が生じることも予想される。

【文献③】

▶︎正常な股関節の屈曲を制限している軟部組織として股関節の関節包や,関節包を補強している靭帯があるが ,靭帯による制限に先行して筋などの軟部組織が伸張されてから,靭帯による制限が生じると考えられる。

▶︎股関節屈 曲が筋により制限をうけている場合,その制限因子は 股関節屈曲に拮抗する伸展作用を持つ筋の可能性が一 般的には考えられている。
▶︎股関節周囲筋の作用については多くの解剖学書あるいは運動学書に記されており,大殿筋大内転筋,小殿筋の後部線維と中殿筋の後部線維,梨状筋大腿方形筋,長内転筋,短内転筋 に伸展作用があると述べ られている。

▶︎一方,新鮮屍体を用いた人体解剖で股関 節屈曲時における股関節後方の筋を観察すると,梨状筋,上・下双子筋,内閉鎖筋,大腿方形筋の緊張が肉眼的に認められ,股関節の屈曲に伴い伸張制限の度合 は増加し,これらの筋を切離することにより,股関節 屈曲角度が増加することを確認した。

▶︎大殿筋切離後に股関節屈曲角度は両股関節とも約3°の増加が 認められた。このことから,大殿筋が股関節屈曲の制 限に全く関与してはいないとは断言しがたい

▶︎今回の実験では両 股関節において大内転筋の伸張は観察されず,股関節 屈曲に及ぼす影響は大きくはないと考えられた。しか し,大内転筋切離後に左股関節では屈曲角度の変化は 認められなかったものの,右股関節では約 9° の屈曲角度の増加を示していた。

▶︎小殿筋の機能に関してBeck らは,小殿筋は大転子だけではなく股関節の関節包にも付着し,関節包を緊張させ,股関節の肢位に関わらず股関節の安定性を補っていると述べている。

▶︎今回の実験では小殿筋切離の際には関節包を温存し,筋を起始部より切離した。肉眼 および触診による観察では両股関節とも小殿筋の伸張 は認められなかったが,小殿筋切離後に左股関節で約 5° の股関節屈曲角度の増加を示した。

▶︎小殿筋が関節包 に付着している部分は小殿筋の中でも深部にあたるため,肉眼あるいは触診による観察での筋の伸張を確認 できなかった可能性と,小殿筋を切離したことで関節 包の緊張が低下し,股関節屈曲時に大腿骨頭の後方す べりが大きく起きたことがその原因として考えられる。

▶︎しかし,右股関節では小殿筋切離後に股関節屈曲角度 の変化はみられなかったことより,小殿筋が股関節屈 曲の制限に及ぼす影響にも個体差があり,必ずしも股 関節屈曲の制限に大きな影響はないと考える

▶︎両股関節の中で顕著な伸張を呈した筋は,梨状筋と 内閉鎖筋であった。両筋とも外旋運動の主動筋と考えられている。

▶︎外旋筋群の中でも梨状筋と内閉鎖筋は,特 に股関節屈曲を制限する可能性が高いと考えられる。

▶︎理学療法プログラムとして股関節屈曲可動 域を拡大するときには,屈曲角度ばかりでなく内旋角度にも注意をはらう必要があると考える

【文献④】

股関節疾患患者において,股関節外旋筋の機能低下が生じていることを臨床上経験することが多い。一般的に,深層外旋筋は骨 頭を求心位に保ち,股関節の安定化を図る役割を有していると考えられている

【文献⑤】

▶︎先行研究にて、人工股関節置換術術後 2 か月(以下 2M)から術後 5 か月(以下 5M)にかけて爪切り動作が可能となる場合が多いことを報告した。

▶︎踵距離は股関節可動域による寄与率の算出から屈曲,外旋,外転の可動域を 4 : 3 : 1 の割合で表せるこ とを報告した。

▶︎屈曲の制限因子と開排の制限因子は股関節内転筋群や殿筋群の伸張性であり,共通している場合が多いた め,屈曲群と開排群では可動域の差がなかったと考える。

▶︎臨床的に大腿筋膜張筋から殿筋筋膜や胸腰筋膜の伸張性が関 与している場合もあり,今後は股関節内転可動域等の影響も検討したい。

↑とのことでした!

伸筋群についてはイメージしやすいですが、外旋筋群も制限因子となることを意識する必要がありますね!

・まとめ

↑では、制限因子についてまとめていきます。

【筋以外の因子】

▶︎制限因子として股関節の関節包や,関節包を補強している靭帯があるが ,靭帯による制限に先行して筋などの軟部組織が伸張されてから,靭帯による制限が生じると考えられる。

【筋性の因子】

△大殿筋

△大内転筋

△小殿筋の後部線維と中殿筋の後部線維

○梨状筋

⭐️大腿方形筋(外転・外旋を伴うと伸長↑)

・長内転筋(文献による記載無)

・短内転筋(文献による記載無)

・上双子筋(文献による記載無)

・下双子筋(文献による記載無)

○内閉鎖筋

・大腿筋膜張筋(制限因子の可能性あり)

・殿筋筋膜(制限因子の可能性あり)

・胸腰筋膜(制限因子の可能性あり)

↑以上のようになりました!!

筋だけでも、かなりの数がありますね!!

それぞれ単独で評価しながら因子を考えていく必要がありますが、特に外旋筋群は制限因子である可能性が高いので、注意が必要ですね!

▶︎以上で終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

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【文献①】田中ら.股関節屈曲角度と股関節深層外旋筋群の伸張率との関係—肉眼解剖による股関節屈曲可動域制限因子の検討—Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)2010

【文献②】

吉田ら.股関節屈曲・外転・外旋肢位の制限因子の検討 —遺体解剖による股関節深層外旋筋群の観察—.Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)2009

【文献③】

佐藤ら.健常人における股関節外旋筋群が股関節屈曲に及ぼす影響.理学療法科学 23(2):323–328,2008

【文献④】

引用:冨澤ら.股関節屈曲角度の変化に伴う股関節外旋筋力と筋活動 筋電図学的分析.第 50 回日本理学療法学術大会(東京)2015

【文献⑤】

引用:木下ら.変形性股関節症における人工股関節全置換術後の足趾爪切り動作方法と股関節 可動域の関係.第 50 回日本理学療法学術大会(東京)2015

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