大腿骨頸部骨折の合併症(リハビリ、ガイドライン、ガーデン分類)

リハビリ

こんにちは!今回は、大腿骨頸部骨折の合併症について、ガイドラインを元にまとめていきます!!

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目次

・大腿骨頸部骨折の合併症(骨接合術)

・大腿骨頸部骨折の合併症(人工骨頭)

・術中の合併症について

・大腿骨転子部骨折の合併症について

・まとめ

・大腿骨頸部骨折の合併症(骨接合術)

▶︎まずは、頸部骨折(骨接合術)の合併症について記載していきます!!

頸部骨折(骨接合術)で気をつけないといけない合併症を簡単に挙げると、

・偽関節

・骨頭壊死

・late segmental collapse(LSC):骨頭圧壊

・screwの骨盤内穿孔

・内固定材周囲の骨折

こんな感じですね!

では1つずつみていきます!

★偽関節の発生率

▶︎偽関節は、骨癒合していない状態で6ヶ月程度経過している状態ですね。

以下ガイドラインより↓

偽関節の発生率は,骨折型によって異なる.非転位型(Garden stage I,II)の骨癒合率は85〜100%と報告されている.一方,転位型(Garden stage III,IV)では骨癒合率は60〜96%である.

とのことです。基本的に低頻度ではあるものの、転位型では少し多くなります。

★骨頭壊死,late segmental collapseの発生率

骨頭壊死(骨壊死)は病理学的な概念で,late segmental collapse(LSC)は形態学的(エックス線学的)な変化である.臨床的には病理学的に骨壊死を診断するのは困難であるため,多くの研究で骨壊死はMRIを用いて評価している.

荷重部に広範な骨頭壊死を生じると,術後経過中にLSCをきたす.LSCは術後長期間(術後1〜2年)経過した後に明らかとなることが多いので,少なくとも術後2年間の経過観察が必要である.MRIでは早期に骨頭壊死の診断が可能であり,術後6ヵ月のMRIで骨頭壊死の可能性が否定できれば,その後の経過観察は不要である.
骨頭壊死およびLSCの発生率は偽関節と同様に骨折型によって異なる.発生率は骨頭壊死(MRIによる)が非転位型で4〜21%,転位型で46〜57%,LSCが非転位型0〜8%で,転位型26〜41%と報告されている.

↑骨頭圧壊・壊死は長期スパンで確認されるため、入院リハビリ中は起こりにくそうですね。

だからこそ、入院中にも一応レントゲン(もしくはMRI)で骨頭の形状が変化していないか、リスク管理として確認しておいた方が良さそうです。

★内固定材料の周囲に骨折を生じる

内固定材料周囲に発生した骨折の検討.CHS固定を非転位47例,転位102例,外側2,585例に施行した.34例(1.2%)に骨折を認めた.3本のcannulated screw固定を非転位563例,転位369例,外側9例に施行した.15例(1.6%)に骨折を認めた(F1F00210, EV level IV).

非転位型の内固定術での内固定材料周囲の骨折は1〜2%であった(F1F01225, EV level IV).

★内固定材料が骨盤内に穿孔する

Olmed screw使用1,307例中7例にscrewの骨盤内穿孔が生じた(F1F03444, EV level IV).
↑これらの報告をみていると、意外と固定材料周囲の骨折は多そうです。

なかなか経過によって痛みが軽減しない、もしくは新たに疼痛増悪が出現した患者さんに対しては、これらも疑った方が良さそうですね。

・大腿骨頸部骨折の合併症(人工骨頭)

では次は、人工骨頭置換術の合併症についてです

★脱臼発生率

脱臼発生率は2〜7%と報告されており,前方アプローチと比較して,後方アプローチで発生しやすい.

★インプラント周囲骨折

▶︎1〜3%にインプラント周囲の骨折が発生している.

★異所性骨化

▶︎異所性骨化が約20%に発生し,重症例では歩行能力を低下させる.

★術中の合併症について

▶︎術中合併症として多いのは,short femoral nail(Gammaタイプ)では,骨幹部骨折,骨折部の離開,ネイルのジャミング(ネイルの引っ掛かり)である.頻度は,骨幹部骨折約2%,骨折部の離開1.6〜13%,ネイルのジャミング1.6〜4.8%である.一方,sliding hip screw(CHSタイプ)固定時の骨幹部骨折は0.4〜0.5%である.

short femoral nail使用時,髄腔が狭い場合にはジャミングを起こす可能性があるので,術前にネイルと髄腔との適合性を正確に評価する必要がある.

・大腿骨転子部骨折の合併症

★カットアウトを予防するためのラグスクリューの至適刺入位置

※カットアウトとは

金属の強さに骨が負けて金属が骨から飛び出てしまうこと。多くは再手術が必要。

↑カットアウトは、臨床でもたまにみられます。では、カットアウトしにくい状態はどんな状態なんでしょうか?

ガイドラインには下記のように記載されています↓

【Grade B】
ラグスクリューのシャフトの位置を,正面像で骨頭中心かそれより遠位に,側面像で骨頭幅の中1/3に刺入する.スクリュー先端は軟骨下骨近傍まで十分に刺入する.

【解説】

再手術の原因として最も多いのはカットアウトである.ラグスクリューを十分深く刺入し,Tip-apex distance(TAD)が20mm以下になるとカットアウト率が下がるといわれている.

↑とのことでした。正面像で骨頭中心かそれより遠位というところがポイントなのかなと思います。

▶︎他文献を見ていても、スクリューが中よりも近位に位置しているものが、術後にカットアウトしやすいとのことでしたので、少し遠位に位置させる方がリスクが少ないみたいですね。

※TADの算出方法はこんな感じです↓

f:id:tajax:20210107231107j:image

▶︎エックス線単純写真正面像および側面像で骨頭の頂点からラグスクリュー先端までの距離を測定する.ラグスクリュー径を基準にエックス線写真の拡大率を補正して,真の距離を算出する.正面像と側面像から求めた距離の合計をTADとする.TAD値が20以下になるとラグスクリューのcut outの危険性が低くなる.

↑このように、術後のレントゲン画像からカットアウトがしにくいかが目安として分かります。

以下文献↓

カットアウトの頻度はshort femoral nail(Gammaタイプ)では1.6〜5.3%, sliding hip screw(CHSタイプ)で1〜2.9%と報告されている(EV level II-2, EV level IV).

再手術の頻度はshort femoral nail(Gammaタイプ)で6〜8%,sliding hip screw(CHSタイプ)で1〜4%である(EV level II-2).

骨頭内のスクリュー先端の設置位置(骨頭頂点とスクリュー先端の位置関係)が重要であるとする中等度レベルのエビデンスがある(EV level II-2).

★内固定材料の破損

▶︎発生頻度は低いが,内固定材料は破損することがある.

↑とのことです。頻度は低そうですが、文献によっては2%と書かれているものもありましたので一応注意がいりますね。

★偽関節・骨癒合不全の発生率

▶︎偽関節・骨癒合不全の発生率は0.5〜2.9%である.
sliding hip screwとshort femoral nailとの間には差がない.

★骨頭壊死の発生率

▶︎骨頭壊死の発生率は0.3〜1.2%である(ここでいう骨頭壊死とはエックス線単純写真で明らかな圧潰を認めた,いわゆるlate segmental collapseである).

【詳細】
大腿骨転子部骨折1,373例中,1年以上経過観察可能であった920例中8例[男性:2例,女性:6例,平均年齢:68歳(52〜78歳)]に大腿骨頭壊死(0.87%)が生じていた.5例はSHSで,3例がshort femoral nailで固定されており,全例,解剖学的に良好な位置に整復され,満足する位置にインプラントが設置されていた.喫煙やアルコール,糖尿病,ステロイド歴など危険因子を持つ症例はなく,壊死は4ヵ月から4年の間に発生していた.安定型が2例,不安定型が5例,頚基部骨折が1例であった.受傷時,手術時の血管損傷が原因であれば,早い時期に壊死が生じるはずであることから,軽度の損傷あるいは特発性骨頭壊死との関連も考えられた.2例は抜釘後に生じていた.全例人工関節置換術の再手術を行った(F2F02579, EV level IV).

不安定性大腿骨転子間骨折604例に対してGammaネイルを施行後に,大腿骨頭壊死をきたした7例(1.16%).経過観察期間は2〜8年(平均6年).整復位の保持および内固定材料の異常はなくこれらが原因ではなかった.年齢の影響は不明.受傷原因が7例中6例はhigh energy損傷であったことから,受傷時に骨頭への血行が障害された可能性がある.また,2例に大腿骨頚基部骨折を伴っていたため,これが一因とも考察された.また,手術中のリーミング時における骨頭への回旋強制が骨頭への血行障害を惹起し,これによって骨頭壊死が生じた可能性が示唆された.3例にアルコールの嗜好があり,この影響もある(F1F00424, EV level IV).

転子間骨折術後の大腿骨頭無腐性壊死の発症率は約0.55%であった.症状が現れるまでの平均期間は骨折後16ヵ月(1.5ヵ月〜8年).骨折から最初に単純エックス線写真上の変化が現れるまでの平均期間は21ヵ月(2.5ヵ月〜10年)大腿骨頭壊死は転子間骨折後の合併症としては一般的ではなく,その病因は明らかでない.転子間骨折後に疼痛が増強した患者において,骨壊死のリスクファクター(糖尿病,肥満,術後静脈血栓症,高コレステロール血症)があったり,近位転子間に骨折線が入り,大腿骨頚部基部の血管損傷のおそれのある症例については特別に考慮するべきである(F1F01808, EV level IV).

↑受傷時、手術中などに血行障害が起きると、転子部骨折でも滑走壊死する可能性があるとのことですね。

まとめ

これらの合併症について簡単にまとめると、

【大腿骨頸部骨折(骨接合術の場合)】

・偽関節

(非転位型の骨癒合率85〜100%)

(転位型の骨癒合率60〜96%

・骨頭壊死

(非転位型で4〜21%,転位型で46〜57%

・late segmental collapse(LSC):骨頭圧壊

(非転位型0〜8%で,転位型26〜41%

・screwの骨盤内穿孔(0.5%)

・内固定材周囲の骨折(1~2%)

【大腿骨頸部骨折(人工骨頭の場合)】

・脱臼(2〜7%)

・インプラント周囲骨折(1〜3%)

・異所性骨化(20%)

【大腿骨転子部骨折(骨接合術の場合)】

・カットアウト:Gammaタイプ(1.6〜5.3%)

CHSタイプ(1〜2.9%)

・内固定材の破損(0.45〜2.2%)

・偽関節、骨癒合不全(0.5〜2.9%)

・骨頭壊死(0.3〜1.2%)

↑こんな感じになりました!

このように確率をみると、明らかに頸部骨折の方が合併症のリスクが高そうです!

特に転位型では、偽関節・骨頭壊死・骨頭圧壊が高頻度なので要注意ですね!

また、人工骨頭は脱臼リスクについて特に言われますが、異所性骨化が20%に生じるというところも注目ポイントかと思います!

これらのリスクに気をつけながら、日々の臨床に挑んでいきたいですね!

今回はこれで終わります。最後までお読み頂きありがとうございました!😁

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