前鋸筋の文献まとめ(作用、起始停止、トレーニング、筋肉、筋肉痛、上肢繊維、肩甲骨、高齢者、リハビリ、肩関節)

リハビリ

こんにちは!今回は、『前鋸筋』の文献をまとめていきます!!

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○管理人プロフィール

▶足と靴専門の理学療法士。理学療法士になる前に、足と靴の専門学校にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は比較的豊富です。

▶実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝え出来ます。(ニーズがあるのかは不明)

目次

・前鋸筋の解剖

・前鋸筋の作用

・前鋸筋のトレーニング方法

・まとめ

・前鋸筋の解剖

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▶前鋸筋とは、肩甲骨と肋骨の間にある筋肉です。

▶のこぎりのようにギザギザしているのが特徴ですね!!

★位置関係的にも、肩甲骨よりも少し下の部分に筋腹が盛り上がっているのがポイントです!

専門的にいうと、

起始  第1-8肋骨(外側面)、第1-2肋骨間に張る腱弓

停止  肩甲骨(上角、内側縁、下角)

↑こんな感じです。

・前鋸筋の作用

↓前鋸筋の作用については以下のとおりです。

前鋸筋全体▶肩甲骨を前外側に引く

    ▶上肢帯が固定されていれば肋骨の挙上

     (吸気の補助)

下部繊維▶下角を前外側に引く

     (関節窩を上方に回転させる)

上部繊維▶挙上した上腕を下げる。

     (下部繊維に拮抗) 

↓その他文献については下記参照下さい!

【文献③】

肩甲上腕リズムの観点からも肩甲骨運動に重要な筋であり、肩甲骨と胸郭との安定性にも関与している

【文献④】

肩甲棘内側端は屈曲では120°まで外側方向に

外転では90°まで内側方向へ

90°以降外側方向へ移動することを報告した。

 肩関節屈曲における中部線維の機能は肩甲骨の外転運動に関与したと考えられる。

肩関節外転では肩甲棘内側端は内側方向へ移動することから中部線維の肩甲骨外転作用に対して肩甲骨運動は拮抗している状態である。

中部線維の相対値は肩関節屈曲と有意差を認めなかったことから肩関節外転における中部線維の筋活動は肩甲骨運動に関与するのではなく、肩甲骨と胸郭との安定性に関与したと考えられた。

肩関節外転120°で有意に相対値が増加したことは肩甲棘内側端が内側から外側方向へ移動が転換される角度であり、中部線維は肩甲胸郭関節の安定から肩甲骨運動に機能転換されることが示唆された。

【文献⑤】

 前鋸筋単独の筋疲労を生じさせると,上肢挙上筋力は変化せず上肢挙上保持持久力が減少する事が明らかとなり,前鋸筋の筋力低下を認めた肩関節疾患評価における挙上保持持久力評価の重要性が示唆された。

▶前鋸筋の特徴としては、

・肩甲上腕リズムに大きく関与している。

・肩甲骨と胸郭を安定させる。

・中部繊維は、120°までは『関節の安定』

       120°以降は『肩甲骨運動』に転換

・前鋸筋は挙上保持に重要

↑基本的な作用以外での役割はこんな感じかと思います。

・前鋸筋のトレーニング方法

▶最後は、トレーニング時の注意点や具体的なトレーニング作用についてまとめていきます。

【文献①】

前鋸筋活動については、各肢位間において座位が最も有意に高値を示した。

他の肢位では、ほぼ同様の値を示した。

仰臥位と座位では、座位での値が仰臥位と比べ2倍以上の活動量であった。

座位では、前鋸筋に比べ僧帽筋上部と三角筋が高値を示した。その他の肢位では、前鋸筋が高かった。

各肢位での挙上角については、120°よりも90°が高い値を示す傾向があった。

仰臥位では抵抗する支持面が座位よりも広く、体幹筋の固定がより発揮できた為に前鋸筋の活動自体が低く抑えられたとのではと考える。

前鋸筋の評価を行う際には、仰臥位よりも少ない抵抗力で確実な筋活動が評価できる座位が適していると考えられる。その時、僧帽筋と三角筋の状態にも留意する必要がある。

【文献②】

肩関節は肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節を中心に構成されており、前鋸筋の筋力低下による肩甲骨の不安定性は、肩関節の筋力低下の要因となる。

Elbow push up plusは前鋸筋の筋力強化エクササイズであり、肩甲骨の安定性の向上を目的としている。

今回の研究ではその効果により肩関節の筋力が増加したと考えられる。Elbow push up plusによって肩関節屈曲、外転、内旋筋力が増加した理由については、それらの運動が前鋸筋の作用である肩甲骨後傾、上方回旋、外転を伴うためであると考える。

本研究の結果は、肩関節の筋力の評価や理学療法の処方において有効な情報になりうる。

【文献④】

抗重力位にて上肢運動を行なう時期のリハビリテーションにおいて,通常の上肢拳上よりも,

水平内転方向や水平外転方向の力を加えることによって,前鋸筋筋活動を強調した運動が可能となるかもしれない。

肩関節は日常生活において,非荷重下で使用されることが多い。臨床で非荷重下での前鋸筋の筋力強化を目的とした介入を行なう場合,上肢挙上時に水平内転方向へ力を加えることによって,より大きい前鋸筋の筋活動を促すことが期待できると考えられる。

【文献⑤】

本研究では外腹斜筋の作用である体幹の反対側への回旋や同側への側屈,前屈が起こらないように,被験者には背臥位でベンチプレスを荷重させた。

直接的に外腹斜筋を活動させる条件下でないにも関わらず,前鋸筋の筋活動量が増すにつれ,外腹斜筋の筋活動量も増加した。

肩甲帯の前方突出により前鋸筋が収縮すると,肩甲骨は外転し,胸郭は上方に引き上げられる。しかし,前鋸筋が最大筋力を発揮するためには,胸郭の固定が必要である。

そのため,胸郭を下方に引き下げる外腹斜筋が固定筋として作用したため,外腹斜筋の活動がみられたと考えられる。

【文献⑥】

本研究から肩関節外転時においては,SA(前鋸筋)は自動運動での可動域,LT(僧帽筋下部繊維)は肩関節90度外転位での筋力発揮への関与が強いことが示唆された。しかし肩関節外転については,その外転角度に応じて筋活動の割合が変化するとされているため,肩関節外転全可動域について述べるには更なる検討が必要となる。

【文献⑧】

これまで肩甲骨周囲筋筋活動の変化は,様々な肩関節疾患と関連付けられ,僧帽筋上部線維(UT)の過活動と同時に,僧帽筋下部(LT)および前鋸筋(SA)の低活動を報告した。これらは僧帽筋筋内活動比(UT/LT比)および僧帽筋前鋸筋筋間活動比(UT/SA比)で評価され,UTの活動を抑制しつつ,LTやSAの筋活動を強調した運動として,臥位での運動が推奨されてきた。

動作課題は,臥位での運動として,側臥位肩屈曲(Side Flex),側臥位肩外旋(Side ER),腹臥位肩水平外転(Pro HAbd),立位での運動として,セラバンドに抗して水平外転方向への筋収縮を伴う肩甲骨面拳上(Sera Scap)および屈曲(Sera Flex),バランスボールを両上肢間ではさむように水平内転方向の筋収縮を伴った屈曲(Ball Flex)とし,それぞれ1kgのダンベルを保持して行った。

本研究結果より,UT/LT比に関しては,等尺性収縮時のみ,Sera Flexが良好な筋活動比を導き出すことが明らかとなった。

UT/SA比に関しては,全ての立位動作課題が全ての運動相で良好な筋活動比を呈すると考えられる。

【文献⑨】

健常者 の 特徴 的なパ ターン と して は,挙上 初期 は肩 甲骨は前傾 してお り,少 しずつ 後傾方 向に運動 し,挙上 IOO°あた りで後傾位 とな り.その 後 さ らに 大 き く後傾方 向に 傾 く。

上 方 回旋角度 に 関 して は,30D〜120°の 拳上 区間に おい て は,挙上 に伴 い上 方 回旋 角度が ほ ぼ 直線的 に増加 す る。

3 つ の 筋は 上 肢拳上 運 動 に 伴 い ,バ ラン ス を保 ち なが ら直線的に増加 し,挙上 110°あた りか らは 僧帽筋 上 部 は プ ラ トーに.

 一方,僧帽筋下部 と前鋸筋の 活動が急激 に高ま る こ とが わ か っ た 。

肩関節拘縮症例の特徴 と して は ,僧帽筋 上 部の 過剰 な筋活動 僧帽筋下 部,前鋸筋の 低活動,上 肢拳上 に伴 う肩 甲骨 一ヒ方 回旋,後傾 運 動の 欠如が 多 くの 症例で 認め ら れ た

健常者の 結果か ら上肢拳上初期〜中盤 にか け て は肩 甲骨の 上 方回 旋を司る僧 帽筋上 部 ,僧帽筋下部 ,前鋸 筋 をバ ラ ン ス よ く働 かせ る こ とが必要 で あ り,上肢 拳上 最終域 の 獲得 に は僧帽筋下 部 ,前鋸筋の 十分 な筋力が 必要で あ るこ とが 考えられ た。

僧帽筋上部の 活動 を抑制 して 僧帽筋下部や前鋸筋 の 選択 的な トレ ーニ ン グを継続 して行 っ た 結果,6 ヵ 月後 の 結果 が示 す よ うに ,僧帽筋上 部 ・下 部 ,前 鋸 筋 の 各 拳上 角 度 に お け る 働 きが 健 常者 の パ タ ーン に 近 づき,正 しい 肩 甲骨運 動の forcecouple が 獲得 され ,肩 甲骨 の 上

方 回 旋 角 度 の 増 大 に繋が っ た と考 え られ る。

文献をまとめると、

・肢位について

▶座位:背臥位の2倍効果がある  

             しかし、僧帽筋上部、三角筋の過活動には 

    注意。

・その他筋肉との関連

▶外腹斜筋;体幹の固定として作用▶前鋸筋が最大収縮するために必須。 

▶僧帽筋:バ ラン ス を保 ち なが ら直線的に増加 し,挙上 110°あた りか らは 僧帽筋 上 部 は プ ラ トーに.一方,僧帽筋下部 と前鋸筋の 活動が急激 に高ま る

▶僧帽筋下部と前鋸筋の選択的な収縮トレーニングが、上肢挙上には有効。

・具体的な方法

▶セラバンドに抗して水平外転方向への筋収縮を伴う肩甲骨面拳上(Sera Scap)および屈曲(Sera Flex)

▶バランスボールを両上肢間ではさむように水平内転方向の筋収縮を伴った屈曲(Ball Flex)とし,それぞれ1kgのダンベルを保持して実施。

↑特にSera Flexが、前鋸筋と僧帽筋下部を賦活。

 +僧帽筋上部と三角筋を抑制

↑内容をまとめると、こんな感じかと思います!

・まとめ

▶以上、今回は前鋸筋についての文献をまとめました!

▶前鋸筋は僧帽筋下部と同様に、上肢の挙上にとても大切であるということですね!

▶具体的なトレーニング方法についても、すぐに実践出来そうな内容なので、是非試してみて下さい!

これで終わります。最後までお読み頂きありがとうございました!☺

【文献①】

中村ら.前鋸筋の筋活動について.

Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集).2005

【文献②】

井尻ら.前鋸筋の筋力強化による肩関節の筋力の変化.Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集).2006

【文献③】

福島ら.肩関節屈曲・外転運動における前鋸筋中部線維の機能に関する一考察.第51回近畿理学療法学術大会.2011

【文献④】

田井ら.上肢非荷重下での前鋸筋筋活動を強調した運動の検討.Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集).2014

【文献⑤】

中岡ら.前鋸筋と外腹斜筋は筋連結しているのか?.

Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)2011

【文献⑥】

山内ら.肩甲骨周囲筋の筋疲労が肩関節外転機能に及ぼす影響.Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)2011

【文献⑦】

草野ら.前鋸筋の筋疲労が上肢挙上筋力及び上肢挙上保持持久力に与える影響.Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集).2017

【文献⑧】

石垣ら.立位における適切な肩甲骨周囲筋筋活動比を導く運動方法の検討.Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集).2014

【文献⑨】

長谷川ら.肩甲胸郭関節を中心とした肩甲帯の運動パターンと機能改善の質的検証.理学療法学.2014

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